「常葉だより249号 巻頭言より」
「風が吹いてきた」 ― 球技大会の後、そう感じました。今年の球技大会は、暑さを回避するために、県総合運動場このはなアリーナで行いました。本校は中高合わせて、350名余りの小さな女子校ですが、アリーナは、声援や満面の笑顔であふれ、一体感を感じることができた球技大会でした。常葉中高は、私の母校であり、英語教師として成長させてもらった職場でもあります。3年前に、11年ぶりに戻ってきた時には、コロナ禍の影響か、学校全体に活気がありませんでした。薄暗いエントランスに、マスク越しのあいさつも小さく、何か新しいことに挑戦する気概を感じられませんでした。
昨年から校長の任を命じられ、教育目標を見直しました。常葉の発祥の地である本校は、「美しい心情をもって人と接し、堅固な意志と健康な身体をもって、いかなる苦難にも打ち克ち、より高きを目指して学び続ける人を育成する」という創立者の教育理念を一番強く受け継いでいる学校です。本校が目指す生徒像は、「社会のために働き、人のために役に立つ、豊かな人生を自らデザインし、力強く歩める自律した生徒の育成」です。「自立」ではなく、「自律」なのは、自分の意志を持ち自分のものさしで自分の行動を決定することができる生徒を育てたいからです。生徒、教職員、保護者にも広く本校が目指す目標を共有し動き出しました。
また、本校は20年以上前から高大連携講座を開講し、キャリア教育を推進しています。本年度からは、探究学習を絡めて、当事者意識をもって取り組めるように支援しています。常葉大学水落キャンパスとは、「One Campus プロジェクト」として、施設の共有だけでなく、法学部や健康科学部の学生と学びを共有したり、ミズオチ交流会サークルと地域を巻き込んだ活動を始めたりしています。少子化の影響は大きく、女子校には向かい風ですが、「共感力」「協働力」「達成力」といった女子校だからこそ育まれるパワーをさらに高め合い、創立100年を目指し、失敗を恐れずに挑戦し続ける学校でありたいと思っています。