3月19日に、第75回常葉大学附属常葉中学校の卒業証書授与式を行いました。小さな学校だからこそ、あふれんばかりの愛情や思いやりをいたるところに感じることができた、とても心に残る卒業式になりました。高校生になっても、ますます活躍されることを期待しています。
式辞
桜のつぼみの膨らみに、うららかな春の訪れを感じる今日この佳き日に、ご来賓、保護者の皆様のご出席を賜り、第75回卒業証書授与式を、盛大に執り行うことができますことを、心より感謝申し上げます。本日、中学校の全課程修了を認められました25名の生徒のみなさん、御卒業おめでとうございます。そして、今日までお子様の成長を見守り、励まし、支えてこられた保護者の皆様、ご家族の皆様にも心よりお祝いを申し上げます。3年前、あどけなく幼さが残る中、希望と不安を抱きながら、常葉中学校に入学された皆さんが、今、こうして立派に成長され、9年間の義務教育の課程を修了したことは、感慨深く、嬉しい気持ちでいっぱいです。
卒業生のみなさん、常葉中学校での3年間の日々はどのようなものだったでしょうか。在学中は、楽しいこと、良いことばかりでなく、つらかったこと、悩んだこともたくさんあったと思います。この3年間は、自分自身 と向き合い、成長し、友情を築き、夢を追い求めるための貴重な時間でした。
みなさんの成長を感じた場面の1つに、「とこはの学びプロジェクト」通称“とこまな”と呼ばれる、探究学習があります。探究学習は、テストの点数では測れない、学びに向かう力や人間力を高めるものです。廊下に、4月に書いたみなさん意気込みが貼ってあります。
「自分で考えて行動する」「人の意見をしっかり聞く」「物事について興味関心をもつ」「自分がわくわくするアイディアを出す」「自分の意見とみんなの意見を足したり、引いたり、掛けたりしてより良いものを創造する」みなさんはこの1年間やり切って、「答えのない創造的な学び」を「開かれた人間関係を作り」ながら、「対話力やプレゼンテーションの力」を磨き、堂々と発表しました。今年は静岡銀行とヤクルトのみなさんが、伴走してくれましたが、選抜チームは、それぞれの会社に出向いて、大勢の前でプレゼンする機会にも恵まれました。探究学習が、単なる発表会ではなく、大人たちも本気になってみんなと向き合い、互いに学び合う機会になりました。次の世代に希望のバトンをしっかりと渡すことが、私たち大人の責任だということも理解してくれたと思います。
人類は、あらゆる失敗の歴史とともに成長してきました。失敗してきたからこそ、新しいものが発見されたり、発明されたりしています。ノーベルのダイナマイトの発明は有名ですが、チーズやポテトチップスやドーナッツなど、失敗から生まれたものは無数にあります。「失敗」はイコール「成長」です。つまり、失敗のない人生は、成長のない人生とも言えます。「とこまな」で学んだように、答えのない問題に果敢に挑戦するたくましさ、失敗しても何度でもやり直そうとする「たくましい知性」を大切にしてください。ロングセラー「思考の整理学」で知られる英文学者の外山滋比古(とやましげひこ)さんは、「知識を捨てよ、思考せよ」と言っています。思考力を磨くことこそが、あらゆる問いの解決策になります。高校生になっても、学ぶことを止めず、ぶれない自分の軸を育ててください。
年度の始めに、Make new mistakes! 新しい失敗をしよう!と、みなさんに呼びかけました。高校生になっても、常識にとらわれることなく、思い切り挑戦する、まずやってみようという勇気をもって行動にうつしてください。喜びは行動とともにやってくるはずです。
結びに、3年間、保護者の皆様からお寄せいただきました、本校の教育活動への温かなご支援・ご協力に、厚く感謝を申し上げます。 卒業生の皆さん、これから歩むそれぞれの道を、目標に向かって一歩ずつ、周囲とよい人間関係を築きながら前進してください。これからの未来が皆さんにとって輝かしいものであることを心よりお祈りし、式辞といたします。