校長あいさつ

永田研校長

大きなオークの木も小さなどんぐりから

 2010年にノーベル化学賞を受賞した鈴木章、根岸英一の両氏が師と仰ぎ1979年にノーベル化学賞を受賞した米バデュ大学のハーバード・ブラウン博士の座右の銘は「TALL OAKs Grow LITTLE ACORNs」(大きなオークの木も小さなドングリから)だそうです。両氏によると博士の著書にも再三登場し、愛用の置き時計にもこの銘が刻んである程大切な言葉であったようです。この言葉はブラウン博士が指導した鈴木氏や根岸氏などの学生に対して励ましの意味で語ったと同時に、自分自身にも言い聞かせながら研究に励んだのだと思います。この言葉は研究の本質を語っていると同時に、生命の神秘について言い表した大変奥深い言葉だと思います。

小さな種子の中に、大木にまで育つ遺伝情報のすべてが含まれていると考えると、種の持つ可能性の素晴らしさには驚嘆するばかりです。しかし、そのような種も水や空気、温度に恵まれないと発芽すらしませんし、たとえ発芽したとしても光や適切な養分がないと育つことはありません。従って、大きなオークの木も小さなドングリが出発点であったに違いありませんが、適切な環境要因も不可欠です。このブラウン博士のどんぐりの喩えは研究や研究者について語った言葉だとは思いますが、これを教育全般についての喩えと捉えた方が、より本質的であるように思えます。人の可能性は植物とは比較にならないほど大きく、人を育てる環境要素は、植物のそれは比較にならないほど複雑多岐にわたります。極めて幼少期の環境要素は家庭が中心となりますが、年齢を重ねるほど学校の役割が増大してくることは言うまでもありません。しっかりとした家庭教育を基盤としながらも、学校という外部環境が豊かであればあるほど将来大木となり得る若木が育つと確信をしています。

本校は常葉学園建学の精神を基盤とし、学校教育目標に「生きる力(確かな学力・豊かな心・たくましい心身)を互いに高めあう子の育成」を掲げ、子供たちの持っている可能性をさらに高めあう教育を推進しています。充実した施設・設備のもと、一学級20人程度の少人数編成により、一人一人にきめ細かく温かい指導をすることが何よりの特徴です。また、常葉大学教育学部の附属小学校として、大学の教員と連携をして「先進的な授業」を実施しています。さらに,感性を磨く「オーケストラ学習」、コミュニケーション能力を高める「英語学習」、情報活用能力を育む「情報教育」、文字の美しさを体得する「書写学習」など特徴的な教育課程を編成し、子供たちの成長に必要な豊かな教育環境の充実に努めています。このように、大学附属の私立学校でしかできない教育を推進し、これからの新しい時代を逞しく生きていく力をしっかりと育てて行きたいと考えています。

常葉大学教育学部附属橘小学校 校長 永田研